アジアには多くの国を訪れているけれど、不思議とインドには縁がなかった。これまで「インド的」なものを旅に求めていなかったからか、行こうと考えたことすらなかった。
きっかけはFacebookで正月の挨拶がてら、前の職場で同僚だったインド人(以降、Bと呼ぶ)に近況を聞いたところ、結婚するからインドの結婚式にこないかと誘われたのだ。はじめは、まあ社交辞令的なものだろうし、わざわざインドまで結婚式に行くなんて(笑)・・・と思っていたのだが、「いや、この機会を逃したら二度とインドに行こうなどとは思わないかも知れないな。」と思い、行って見ることにしたのだった。
ティルバナンダプラム(トリヴァンドラム)という街
Bに参加する旨と伝えると、結婚式場のURLが送られてきた。どうやって行くかは自由に考えろということか…。Google Mapで確認してみると、ティルバナンダプラム(元はトリヴァンドラムという英語読みだったらしく、トリヴァンドラムでも通じる)というインドの最南端近く、ケーララ州というところの州都らしい。
ケーララ州について調べてみると、なかなかに面白い地域で興味をそそられる。言語はマラヤーラム語といい、我々がよく見るヒンディーのデーヴァナーガリー文字(देवनागरी ←こんなの)よりも丸っこい、マラヤーラム文字(തിരുവനന്തപുരം ←こんなの)を使っている。
ケーララ州では識字率がほぼ100%であり、その結果、教育水準や医療水準が高く、それが温暖な気候と相まって、治安の良さにつながっているらしい。この識字率の高さはケーララ州で強い力を持つインド共産党(CPI, Communist Party of India)の識字政策によるもので、僕が滞在中にもCPI-M(インド共産党マルクス主義派)による政治集会が数多く行われており、街中は共産主義の旗(赤字に鎌と槌)やチェ・ゲバラの肖像画があちらこちらで見られた。
今回は7泊9日とあまり時間がないので、シンガポール航空(SQ)でシンガポールのチャンギ国際空港経由でトリヴァンドラム国際空港で入国する方法を選択した。時間はかかるがインドの他の空港経由で国内線に乗り換える方が安く上がるだろう。
SQのフライトは快適で、エコノミーでも装備は十分。オンデマンドの大型スクリーンで映画も好きなタイミングで見られるし、電源もUSBポートもあるから、PC仕事もできる(はず)。食事も悪くないし、いまや日系の航空会社よりもあらゆる面でベター。ちなみに映画は、金を払ってまで見る気にはならなかった「モテキ」と、安田顕がでているので興味を惹かれて「大洗にも星はふるなり」の2本見た。後者は舞台演劇をそのまま映画にしたようなチープな作りだけど笑えた。
インドの前にちょっと寄り道
途中、シンガポールの乗り換え待ち時間が7時間もあるので、出国してシンガポールの市内をぶらつくことにした。ガイドブックも持っていないので、ベタにラッフルズホテルでお茶飲んで、マーライオンをみたりした。あと、SMAPのCMで有名なマリナベイサンズで高級ショッピングモールを覗いたり。そんなこんなで3時間ほど名所を巡って、チャンギ空港へ戻る。最近出来たばかりのMRTの駅から戻ったけど、これが失敗で3回も乗り換える羽目に。結局45分も掛かった。
シンガポールの糞暑さで若干ぐったりしつつ、トリバンドラム行きの飛行機(シルクエアー)に乗り込む。フライトは4時間。乗客は9割インド人。オーディオサービスがないのでディスプレイには音声がなくても楽しめる、Mr.Beanや爆笑ビデオ系がひたすら流れる。機内食は、やはりカレー。しかしベジタリアン食がなくなり、チキンカレーのみが余ってしまい、食べられないインド人多数。かわいそう。
やっとインド到着
結局、1/28の早朝6:25羽田発に乗って、トリヴァンドラムに到着したのは夜11時であった。日本との時差が3時間30分あることを考えると、賞味20時間近い旅である。
トリヴァンドラム空港は思ったより大きくて綺麗。さすがに店は殆ど閉まっていたが、両替銀行だけは開いていた。ちなみにインドルピーは国外持ち出し禁止なので、現地空港で両替したのだがレートはかなり悪く、52ルピーで100円であった。あとで聞いた話によると、シンガポール空港では60ルピーで100円だったそうな。
すっかり疲れていたし、もう遅い時間だったのでタクシーでホテルまで移動する。目指す最初の宿泊地は、コヴァラム(Kovalam)というアラビア海を望むビーチリゾートである。
到着ゲートを出ると、毎度お馴染み、客引きのオヤジ達に囲まれる。
空港からコヴァラムまでは30分程度のはずだが、走り屋風のやばいタクシー運ちゃんが、狭くて穴の開いた道を時速80kmでぶっ飛ばすので15分くらいで着いた。プリペイドTaxiということで500ルピー均一だそうな。Webで調べた5年前の情報と比較するとかなり高い印象だけど、インドは年7%くらい物価が上がっているそうなので、こんなもんかも知れない。(疲れていたので、交渉する気力もなかったが。)
ホテルはTurtle on the beachという4ツ星ホテルで、リゾート感たっぷりで予想以上の部屋。オーシャンビューのテラスが付いてる。設備は少々古いが、綺麗に片付いており、清潔である。着いた早々部屋のブレーカーが落ちて何度も暗くなるというプチトラブルがあったが、インド訛りには慣れないけど英語が通じるので、特に困ることはない。
寝る前にバケツをひっくり返したような大雨が降って、南国だなぁと思いつつ、雨音を聞いているうちに寝てしまったようだ。
ちなみに、翌朝のホテルからの眺めはこんな感じ。気温は30度近いが、南国のカラッとした気候なので、ハワイっぽい感じといえば判るだろうか。
言われなければ、インドとは思えないリゾート感である。
(続く。)